PROJECT STORY

奈良大学 創立50周年記念施設「令和館」新築工事

2018年9月着工/2019年10月完成

MEMBER

  • プロジェクトメンバー1
    所長

    平野 善裕

    1984年入社。建築部部長。プロジェクトの最高責任者としてメンバーのマネジメントを行い、現場をまとめ上げた。

  • プロジェクトメンバー2
    副所長

    橋詰 博明

    1984年入社。建築部所属。当プロジェクトでは平野の補佐役として、また実質的なリーダーとして工事を推進した。

  • プロジェクトメンバー3
    工事長

    辻本 文彦

    1994年入社。建築部所属。当プロジェクトでは主に施工図作成や発注、工事管理など工種工事を取り仕切った。

  • プロジェクトメンバー4
    係員

    山中 大暉

    2014年入社。建築部所属。当プロジェクトでは現場の安全管理や各工程の施工写真の撮影・整理などを担当した。

プロジェクトストーリーの写真1
SECTION 01

急斜面に建つ建物を解体し、
新たな施設を建てるために。

「創立50周年を記念して新しい施設を作りたい」当プロジェクトは、当社と長年お付き合いのある奈良大学さんからの依頼で2018年9月にスタート。新たに建設するのは、大講義室やセミナールームなどを有した開放感のある2階建ての施設。総工費は12億円以上、工期は1年を超える大規模な新築工事です。私たちのミッションは、大学の学生生活や行事に配慮し、立地の制約を乗り越えて期日・計画図通りに建て替えるというものでした。

平野

このプロジェクトは、とにかく完成までのストーリーを考えるのに苦労しましたね。崖のような急斜面に建てること、大学の敷地内であること、鉄骨造とSRC造が組み合わさった複雑な構造だったことなど。私はまず、「ここは絶対に守りたい」というポイントを含めて工事全体の工程を把握するところから仮設計画を立てました。課題や問題点を洗い出して、クリティカルな視点で事前準備を行うことは基本中の基本です。橋詰くんには工程管理から予算管理、品質管理まで、私が考えた大枠の計画に沿って細やかに動いていただいて本当に助かりました。

そう言っていただけて嬉しいです。確かに重機の搬入経路の確保や作業員の足場作りなど、スタートの部分はかなり大変でしたね。学生さんを乗せたバスの通り道にミキサー車やクレーン車も通るわけですから、納期がずらせない中で、試験やイベントなど大学の予定に合わせなきゃいけなくて。大学の総務担当の方と何度も協議しながら、作業の細かいスケジュールを工程表に落とし込んでいったりして。設計図にない足場図面は、こちらで作成したりもしました。工種単位の施工図を作ってくれたのは、辻本くんだったよね?

橋詰
プロジェクトストーリーの写真1
プロジェクトストーリーの写真2
辻本

はい、僕は主に内部仮設、板金工事、金属工事、内装工事、硝子工事、外構工事を担当させていただきました。職方さんと打ち合わせて施工図を作成したり、材料を手配したり、作業の進捗を確認したり。施工が難しい場所では、足場架設のサポートも行いました。

工事長を務めてくれた辻本くんには、今回技術的な業務を担ってもらったんだけど、各工種工事をうまく取り仕切ってくれてありがとう。施工が困難な場所での作業も多かっただろうから、現場レベルで大変なこともあったんじゃない?

平野
辻本

そうですね。一つだけ、玄関ホールの壁を何度か補正しました。石膏ボードを張って塗装で仕上げる仕様で、ジョイント部分の段差にムラができてしまって。施設の顔になる重要なスペースだったので、念には念をといった感じです。この経験は次の現場でも活かすことができました。

すばらしい。いい学びになりましたね。山中くんは当時の新入社員2人の教育係をしながら、現場の安全管理や写真撮影を担当してくれたんだよね。初めて現場入りする職方さんへ安全ルールの説明をしたり、随時安全チェックを行ったり、工程ごとに施工現場を撮影したり、一見地味だけど緊張感のある重要な仕事をこなしてくれました。

平野
山中

はい、日々状況が変わっていく工事現場で、先回りして危険箇所や危険作業を予測しなければいけない大変さと、安全管理の奥深さを実感しました。施工写真については、撮影のタイミングを間違えると後からさかのぼって確認できなくなってしまうので責任重大でした。段取りがとても大切など、僕自身、たくさんの気づきをいただけた貴重な案件となりました。

プロジェクトストーリーの写真3

SECTION 02

プロジェクトを無事に終えた今、
メンバーたちの想いとは?

2019年9月末、奈良大学の「令和館」は無事に完成。1年強という長い工期の中で、途中、材料の変更でやり直しが発生したり図面と実物にわずかなズレが発覚したりして、スケジュールの調整を余儀なくされる場面もありましたが、結果的に大きなトラブルもなくスムーズな新築工事となりました。それぞれの持ち場でそれぞれの役割を果たしたメンバーたちに、プロジェクトを終えた今の想いを聞いてみました。

平野

どんな現場もそうだけど、こうして建物が完成するとやっぱり達成感があるよね。私としては、見積もり段階から契約、着工、完成まで、自分が想定した計画通りに進めることができてホッとしています。特に規模が大きくて構造も複雑で、施工しにくい現場だと苦労が多い分喜びもひとしお。橋詰くんをはじめ、辻本くん、山中くんたちが主体的にテキパキと動いてくれたおかげです。

本当にいいチームでしたよね。設計図が分かりづらい場合は現場で使いやすい図面にアレンジしたり、トラブルが起こった時はできることを考えて実践したり。日々のコミュニケーションを大事に、みんなで連携しながら進めていけたのがよかったですね。完成の喜びを分かち合える仲間がいるって最高です。辻本くんはどう?

橋詰
辻本

そうですね。僕は現場で施工がうまくいかない場合、まずは自分でどうすればいいかを考えてから橋詰さんや平野さんに相談し、的確な指示をいただきながら小さな危機を何度も乗り越えてきました。たくさんの苦労があったからこそ、完成した建物を見ると感慨深いですね。最後、大学の方に「ありがとうございました」とお礼を言っていただけて嬉しかったです。

プロジェクトストーリーの写真4
プロジェクトストーリーの写真5

僕が苦労したのは、基礎工事の作業調整です。特に大がかりなコンクリート打設は、生コン業者さん・ポンプ屋さん・左官屋さんと連携しながら分刻みのスケジュールを組む必要があります。天候が悪い時には中止・続行の判断をしないといけないし、延期になれば一から準備することになる。僕も迷った時はメンバーのみなさんに逐一相談させていただきました。緊張感のある現場でしたが、同じくらいやりがいがありました。建物ができていく一部始終を一番近くで見られるのは現場監督の特権ですよね。今は達成感しかないです。

山中
平野

それぞれに成長が見られた現場でしたね。みなさん本当にお疲れ様でした!

SECTION 03

そして平野から橋詰へ、
現場を束ねる所長のバトンが渡された。

当プロジェクトが進行する最中に、大学の「臨床心理センター」新築移転の依頼が舞い込んできました。建てる場所は「令和館」の隣。平野は自身の補佐役としてプロジェクトを共に成功に導いた橋詰を、臨床心理センター新築工事の所長に抜擢したのです。「数々の現場を経験してきた橋詰くんのような行動力・調整力のある細やかな人間が、プロジェクトを引っ張っていくべき」平野から太鼓判を押された橋詰は、渡されたバトンをしっかり握りしめて次の現場を見据えていました。